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板橋区民、嚙みしめる。

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寒い。風邪を引いてまう。

先日、常夏の島、西南諸島の宮古島から帰還した。さて、なぜこの時期に宮古島へ?

板橋区民の生れ故郷、赤塚郷の徳丸には東京都指定文化財の「旧粕谷家住宅」がある。1820年代に建てられたと推定される茅葺の古民家であるが、オリジナルの場所に存在する古民家は東京23区内ではとても珍しい。

現在は板橋区が土地ごと購入し文化財となり、元の住人の方は住んでいない。板橋区民も子供のころから知っている家で、家が生きていた時代を知っている。この古民家がなぜ昔のままの茅葺の家として残ったのかは、当ブログの記事でも度々取り上げてきた。それは、今から75年前まで生きていた、この家のご当主となるはずの方が残した思いからであった。

その、ご当主となるはずだった粕谷正三さんは赤塚郷きっての秀才で、旧帝大を卒業後一時官吏となったが、時代ゆえに海軍に入り、海軍士官として巡洋艦に乗り込んだ。1943年11月のブーゲンビル島沖の海戦で敵潜水艦による雷撃により大怪我をし、呉の海軍病院で入院加療後、霞ヶ浦で勤務ののち、海軍大尉として沖縄方面部隊に派遣され、1945年6月14日、現在の那覇空港近くの小禄で敵軍に切り込みを繰り返したのち、生き残りの兵と爆雷を囲み自決した。

板橋区民は、10年ほど前から粕谷正三さんの足跡に興味を抱き、調べている。3年前には最後の地である小禄の海軍巌部隊の壕跡を訪れた。粕谷さんは、小禄の陣地に赴任する前、数ヶ月間を宮古島で過ごしており、一体どこにおられたのだろうかと気になっていた。所属していた南西諸島航空隊宮古島派遣隊の編成や人数、任務について等、わからないことだらけだ。ご家族への手紙には、宮古馬に乗っていることや畑を作って作物を自給しているなど、生活周辺の話のみで、どこに駐屯地し、そこが壕であったのか地上の家屋であったのかも不明だ。

これはもう現地へ行くしかないかな、と思っていたが、島嶼部は何かと入用でなかなか踏ん切りがつかなかった。しかし、今年のコロナ禍によりGoToという機会が出来、いささか不謹慎かと思いつつも調査費節約旅行が可能ということで、実行に至ったのである。

てな経緯で宮古島へのGoToが実現したのであるが、ハッキリ言って甘かった。初日に取り合えずは情報収集をと総合博物館に行き、戦跡に詳しい学芸員の方にお会いし経緯を述べ相談したのだが、ピンポイントな回答は得られなかった。地元でしか手には入らない文献も拝見させていただいたけれど、的確な情報とは遭遇が出来なかった。当然ながら軍の一次資料はなく、当時の島民の残した証言集を漁るには時間がなさすぎた。

頭を切り替え、島内で発見された壕を見学することにしたが、これがまた苦行であった。宮古島市は戦跡の調査が進んでいるのだけれど、南国の島であり、絶えず保守をしていないとすぐにジャングルと化してしまい、メジャー処の壕であってもニョキニョキした南国特有の植物に阻まれ、藪漕ぎをしながら分け入ったり、トーチカなどは絶壁の途中に設営してありこれまた藪に覆われた急峻な道を登らねばならず、11月とはいえ蚊などの虫の攻撃や蜘蛛の巣と戦い、そしてやっとたどり着いた壕の入り口は狭く、這いつくばって入らねばならなかったり、当然ながら壕の中は真っ暗闇で、懐中電灯頼りで進もうにも帰り道がわかるのかとの恐怖に襲われながら行軍するという苦行であった。もう少し年をとったら、体力気力的にとてもじゃないが訪れることが出来なかっただろう。

いやはや、それにしても壕を掘った兵隊さんや使役させられた島民のご苦労は計りしれないと思い知りました。あのねっとりとした南国の気候の中での壕生活は、さぞかし苦痛であったろうと身をもって実感させられたのである。

調査最終日に、図書館で文献を探そうと宮古島市未来創造センターという、ごく最近できた恐ろしくモダンな建物を訪れたのだけれど、沖縄戦の書物ばかりで、宮古島の本がとても少なく当てが外れてしまった。飛行機の時間もあってあまり長居できず、後ろ髪を引かれる思いで図書館を後にしなければならなかった。

 

こうして我が赤塚郷に帰還したのであるが消化不足は否めず、やはり文献資料は沖縄本土で漁った方が良いのではないかと思い至り、早速GoTo旅行サイトで沖縄行きの予定を組んだ板橋区民なのであった。割安で調査に行けるのは、今しかないのだ。

 

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