☆終戦70周年紀年☆〜衝撃!!まる裸の板橋区。〜
もう世間では忘れられているかもしれないが、今年は終戦から70年目の年である。また本日は、アメリカに宣戦布告を行ない、日本海軍の空母艦載機がハワイの真珠湾基地を奇襲した日でもある。
先日もお伝えしましたが、今年1月、成増陸軍飛行場を根拠とする飛行第47戦隊・第1中隊旭隊に所属していた元空中勤務者の野田少尉が逝去された。
戦時中に現役兵士として第一線で戦っていた方々も、平均寿命をはるかに越えた90歳前後の年齢となり、幽冥界へ去られる方が多くなってしまった。もう当時の話をお聞きできないのは、非常に寂しいことだ。
今年は10年区切りの紀年なので年明けから重い腰を上げ、板橋区民アウェイの地である麻布の外交資料館に出かけ、所蔵されているマイクロフィルム群の中から、長年の謎であった進駐軍の成増飛行場への進駐時期を特定する書類を発掘できた。夏には練馬区で講演もしたし、周年らしい年を送れたかなと思っていた。
さて、年の瀬を迎えようとするこの時期、何と、何と、何と、ななんと、‥私にとってはスーパーベストに欲しかった資料を手に入れることができた。
そのお宝とは、1945年1月9日にB29の写真偵察機から撮影した空中写真を元に作成された情報入り偵察地図(しかも板橋区域!)だ。
昭和20年1月9日は、成増飛行場上空で47戦隊選出の震天制空隊員・幸軍曹がB29に体当たり散華し、銚子沖では47戦隊の至宝、粟村准尉がB29の後部胴体に喰らい付き、パラシュートで脱出するも大海原に消えてしまった日であった。そんな日に、憎き米帝は悠々とこんな鮮明な空中写真を帝都の広範囲にわたり撮影していたのである。
(注:その後の調べで1月9日はこの地図の作成日で、撮影は前年の昭和19年12月28日の可能性が高いとわかった。2016年1月記)
このB29偵察機による一連の空中写真は、国土地理院のHPで閲覧でき、購入することもできる。今年2月には写真集も発売された。ただし、現存するもの全てが公開されているわけではなく、私が米国立公文書館で確認した写真はもっとたくさんあった。
しかしである。この度入手した地図は、本来一枚一枚バラバラである写真を繋げ、それらに詳細な情報が書き込まれた地図なのである。実は、この前年に撮られた写真で作成されたモノはすでに手に入れていて、一度、当ブログで公開している(確か、ターゲットは成増飛行場、というお題だったかな)。今回入手したのは、それよりもはるかに情報量が多く、描かれた情報は概ね正確だ。1944年版は成増飛行場が「TAKAMATSUCYO AIRFIELD」と表記されていたが、今回のは「NARIMASU AIRFIELD」となっている。
掲出の地図は、大まかに東西が上野不忍池から朝霞まで、南北が新宿の淀橋浄水場(現在の都庁あたり)から新河岸川くらいまでの範囲をカバーしている。
この地図、詳細に検討してゆくと非常に面白いのだけれど、それはこれから徐々に行うので今回はさわりだけの公開でお許しを。(もったいぶんな!とお怒りかもしれませんが当方老眼も進み‥てなワケもありまして。。)
戦時中の空襲に関する資料はいろいろ見てきたつもりだけれど、これほど情報の入った地図は見たことがない。戦時中の板橋区域は別として、他の日本各地の地域でもこうした地図は見た記憶がない。
当然目的は、空襲で使用することを前提にしているのであろうが、それを示すのが、縦横に描きこまれている「High Tension Lines」だ。日本語にすると高圧送電線。B29などの大型爆撃機にはあまり関係ないけれど、低空からの機銃掃射を目的とした攻撃機にとって高圧送電線は天敵だ。パイロットにとってその情報は必須なのである。
関東各地に初めて米艦載機が襲来したのは昭和20年2月16日である。19日から始まる硫黄島上陸作戦に呼応し、日本軍機の攻撃を封じるために計画された作戦だ。沖縄方面に出動していた空母群も集結し、一斉に関東地区の日本陸海軍基地を襲撃したのである。当然、成増飛行場もターゲットにされていて、当日は何度も攻撃を受けている。
いや〜、あらためてアメリカの巨大な力を感じる地図ですね。欧州ではドイツと戦いながら、太平洋では日本軍と戦い、かつ絶対防衛圏を突破し、日本上陸を目指し東京をまる裸にした詳細な地図まで作成していたんじゃあ、こりゃもう戦争に負けるワケだとつくづく思い知らされますね。。
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