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板橋区民、自由研究をする。

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  嗚呼、連日のこの猛暑は勘弁してほしい‥大好きなくるまやラーメンにも行けないじゃあないか‥

前回に続き、兎月園の考察をする。せっかく手に入れた資料をとことん研究しないとモッタイナイっす。

兎月園の全体を示す資料は私の知る限り、今回UPした物と、月刊光が丘新聞が1992年に関係者からの取材により描いた想像図しかない。案内図の絵はデフォルメされているので正確さに欠けるけれど、現存する絵葉書などの写真と地図で補完するしかない。

見つかったパンフ2点を比較してみよう。

先の1点は私が入手した物、もうひとつは8年前に入手しそこなった物だ。まず、どちらが古いのかを推測する。
大きな違いとしては、前者は門が一箇所、後者では二箇所描かれている。石神井公園近くの三宝寺には、かつて赤坂の勝海舟邸にあった長屋門が移築されているが、もともとは兎月園にあったもので、閉園後に三宝寺に譲られたという。
すると、兎月園には最終的に入り口は二箇所あった(案内図にも描かれているが)と考えられるから、前者の案内図方が古いと思われるのだが、後者の案内図には表門の横に売店が描かれていない。ここには、のちに園内にあった映画館(後者の案内図の真ん中の入り口から入った場所にある建物)が火災で焼失し、新たに映画館が設けられた場所で、何も描かれていないというのが不思議だ。

園内の建物の様子も微妙に違う。特に、滝(兎月大滝)と対面の露天付き大浴場は大きな売り物のはずだけど、後者の案内図では強調していないようだ。
グラウンド内の設備の位置も時代によって変わり、最盛期には後者の案内図の遊具が描かれている場所には猿や熊や鳥などのミニ動物園の檻が並ぶ。

兎月園は、もともと大正10年に華族や東京府内に住む富裕者層のための郊外農園として始まった。それは成増農園と命名され、のちの兎月園のグラウンド部分の場所にあった。池のある部分は、現在の光が丘公園北入り口の交番近くにあった”お玉ヶ池”を源流とする水路が白子川へ流れ込む流域にあり、小さい渓谷を作っていた場所の景観を利用して整備され、農園利用者のための休息施設を作りそれが兎月園という形に発展していったのだ。

兎月園の最盛期は昭和10年前後をピークとし、昭和19年2月に閣議決定された「決戦非常措置要綱」により高級享楽の停止(待合、カフェー、遊郭、劇場などの休業)が行われ、この頃までには表立っての営業を中止していたと思われる。兎月園の特殊な所は、朝霞に陸軍士官学校があり、高級軍人の利用が頻繁だったことで、戦時中でも軍の宴会が密かに行われ、特攻隊の送別の宴も開かれたこともあるという。軍が許可をすれば飲食物持ち込みで営業が出来たのだ。

B29の偵察機が昭和20年4月30日に撮影した空中写真を見てみると、不鮮明だが兎月園内にあった池は、元の小川に戻り、緑で覆われてしまったのかのようにみえる。隣のグラウンドも荒れ果ててしまっているようですね。


先日、かつて兎月園のあった場所を実地調査してみた。あたりは果てしなく続く住宅街に埋もれ、みる影もない。が、光が丘公園北口から続く流路は今でもその痕跡が辿れ、それを基準として眺めると、地形は激しく変化しておらず、なんとなく往時を偲ぶことができる。兎月園の池があったと思われる部分はそれとわかる程の低地で、ちょうど滝が存在していたと思わしき場所には急な階段があったりする。

実は、兎月園時代の建物の一つが今でも残っているという。それは案内図の右上にある”大休息所”として使われていた建物で、現在は駐車場や屋敷林に囲われ、容易に敷地内は見れないようになっており、表札も見当たらない。昭和40年代の住宅地図では如庵(花岡)とある。花岡とは兎月園のご当主の苗字であり、関係者がお住まいであったようだ。

仄暗い屋敷地を遠くから拝見すると、庭には大きな仏像などの石物が見え、かつての兎月園の風景が残っているように感じられる。他に兎月園を感じさせる物は、案内図手前の道が今では「兎月園通り」と名付けられ、通り沿いの板橋区側にある和菓子屋さんで売られている銘菓、兎月まんじゅうだけだ。


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