☆綾瀬はるかと高島流☆〜大河ドラマは板橋区から〜
ん〜さわやかな季節ですね。いや〜新緑が目にシミル。一ヶ月以上もブログ更新を放置をしておいていきなり再開してみたりして。
突然ですが、来年の大河ドラマは何をやるのか知ってますか?当ブログでもちょくちょく話題にしてますね。そう、あの大人気女優、綾瀬はるか嬢を主役に迎えた「八重の桜」です。
ざっくり解説すると、
時は幕末、会津藩の砲術師範の家に生まれた山本八重が、激動の維新戦争に身を投じ、女性ながら大砲隊や鉄砲隊を率い数々の戦いに参加、会津城落城のその時までスペンサー銃を手に凄腕スナイパーとして新政府軍を悩ませ続け、後に”幕末のジャンヌダルク”と称された。明治の世となり、銃を捨てた八重は新島譲と知り合い結婚。日本初の女学校や夫とともに同志社大学の設立に参加、譲の死後は看護婦となり日清・日露戦争に篤志看護婦として参加、昭和3年、昭和天皇より銀杯を賜り、昭和7年、その波乱の生涯を閉じる。
と、まあこんな感じですね。
で、この新島(山本)八重さんが学んだ西洋流砲術が、我が「高島流砲術」というわけなんですな。八重には山本覚馬という兄がいて、この兄に西洋流砲術を叩き込まれるんだけど、山本覚馬は会津藩でも指折りの秀才で、江戸で遊学することを許されていた。そこで最新式の西洋流砲術を学ぼうと佐久間象山から高島流を習ったというわけだ。
さて、ここからが本題ですよ。
新緑の香りを乗せた爽やかな風が吹き渡るある日、赤塚溜め池公園に隣接する板橋区立郷土資料館に、今回のNHK大河ドラマを作り上げる神々、時代考証チーフディレクター大森氏を始め、ドラマ制作ディレクター、映像デザイナー、美術デザイナー、そして脚本家で、最近は朝ドラの「ゲゲゲの女房」をお書きになった山本むつみ氏と、蒼々たる製作スタッフ達が集結した。
すでにドラマの撮影は始まっており、会津の雪景色や桜の風景、そして、導入部にあたるアメリカ南北戦争のパート(なんとアメリカロケをしたそうだ!)を撮り終えている。役者を使った本格的な撮影は夏頃スタート(いつも8月下旬頃からはじまりますね)だそうで、現在、脚本や演出の詰め作業を行っており、その一環として郷土資料館に足を運んだのだ。板橋の郷土資料館は、西洋流砲術関連資料の収集では傑出しているんです。高島秋帆先生の書画なんか資料館と松月院と私のコレクションを合わせると、全国で確認されている物の半分以上はあるんじゃないかな。(さりげなく自慢)
新島八重といえば砲術。なので、この部分に力を入れるそうで、今のところクライマックスの会津城落城は夏頃の放映になるのだとか。(もちろん変更はあるかもしれませんが)そのため、訓練や戦闘シーンにはそうとう調査が必要で、制作スタッフによる調べは進んでいるけど、まだまだ考証には時間をかけるようで、こういう所はさすがにNHK!だ。とくに脚本家の山本むつみ氏は熱心で、資料館が用意した、幕末当時の洋式銃を一丁一丁手に取り、その感触を確かめていた。きっと、主人公を演じる綾瀬はるか嬢にどういう気持ちで持たせるのかを考えていたのかも‥
そういえば、ずいぶん前に藤沢周平原作の松竹映画、「隠し剣 鬼の爪」に出てくる海坂藩が導入する洋式調練・大砲等 の時代考証協力をしたことがあって、松竹の美術班が資料館の講義室でひたすら大砲の図面をコピーしていたっけ。
あと、ちょうどその頃、長崎好きの作家、故・吉村昭氏が「高島秋帆」を題材にした小説執筆の下調べで、頻繁に資料館に問い合わせをしてきていたという。残念ながらその時期に癌が見つかり作業は中断、惜しくも亡くなられた。もしも小説が上梓されていたらこんなに素晴らしいことはなかったのになあ。
一通り資料の観察と解説を終えた後、小西館長を中心に質疑応答や歴史認識の確認作業が始まった。実はここが肝心で、史実とドラマとしての演出の擦り合わせをいかに行なうか、ということが大きな問題となる。ちょっとしたマニアならば歴史ドラマを観て「こんなのありえん!」などといちゃもんを付けたくなる場面はいくつもあるだろう。ドラマ制作では、本当に無知でやってしまう場合と、演出の都合によるものがある。我が西洋流火術鉄砲隊の演武も日本古来の火縄銃が使われるが、知らない人が見たら「なんだこりゃ?西洋流なのに火縄銃かよ。バカ?サギ?」なんて罵られること幾百回。もう何度も説明しているが、黒色火薬を使った射撃場以外での空砲演武は火縄銃でしか許可はされない。そして、高島流の集団密集隊形射撃は火縄銃では危険すぎて出来ないのである。だから都合によりそういう形になってしまうんです。
もし大河ドラマの戦闘シーンでリアルさを追求すると、とんでもなくなりますね。それはえげつないシーンの連続で、考証の大森氏による、戦闘になるとどうなるかの話は、脚本家の山本むつみ氏が思わず「イヤ〜!」と耳を塞ぐほど残酷だ。まっ、当然そんなシーンは撮るワケがないけど、会津攻略の砲撃の主力として使われた臼砲が小さくて画にならない(制作側はデカイのを使いたいが、山あり谷ありの戦場では重くて運べないじゃん)とか、兵の横や後ろから大砲を撃ち、兵がその後突撃する(むやみに大砲の近くに人がいたら威力で吹き飛ぶだろ)なんて実戦ではやらないことをどう工夫するのかなど、課題は多い。
そんなこんなで考証はこの日だけではなく、後、何回か行なわれるだろう。我が西洋流火術鉄砲隊にも俳優達に演技指導してほしいとのオファーがあった。もしかしたら隊員の中から出演する者も出るかも??なんて。でも、山本むつみさんにそっと聞いてみたけど、「‥ん〜それは‥」・・残念ながら高島流の名前はドラマ内では出ないようです。まっ、そんなもんですな。。
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