☆2012年新春☆年頭にあたり板橋区学芸員採用試験応募者にエールを送る。
もう松の内も明けますが、新年おめでとうございます。元日早々板橋区では震度4の地震がありましたが、ワタシはその時分、八海山の萬寿(!)を嗜んでおり、ん?酔ったかなあ?と思った具合で、まあ、おだやかな年の初めでしたね。
さて、昨年12月14日から板橋区では学芸研究の専門職員の公募が始まり、受験書類の受付は本日にて終了しました。同職種の採用は実に20年ぶりのことになります。そして採用人数は1名という非常に狭き門だ。どんな仕事をするのかというと、郷土資料館の学芸研究職員として働くんですね。一般職員とは違い部署の異動はほとんどありません。
私も資格があれば受けてみたかったですが、年齢制限に遥か及ばず‥。応募資格には学芸員資格を有する方、とありますが、不詳ワタシは工学部出身ですが心機一転、2009年、2010年の2年をかけて早稲田大学の学芸員資格取得コースに通い、単位を取得しました。まあ、学芸員資格を持っていても今さら博物館で採用されるわけもなし、無駄といえば無駄ですが、新しい出会いや発見もあり、通って良かったと思います。もしも私設博物館を作る時にも役に立ちますしね。なんて。実際、自分の血縁者の美術館や博物館を継ぐために通う人もおられました。
タイトルには偉そうに”採用試験応募者にエールを送る。”なんて書きましたが、板橋区をこよなく愛し、区民税もたっぷり?払っている生粋の板橋人とすれば、若手新規採用学芸員の方に寄せる期待は大きい。このご時世、地方自治体や公営の博物館や資料館では、管理者委託制度に切り替えたり専門職員を置かないなんて所まであるのに、正規の学芸職員を雇うなんてすごいことなんですよ。さすが板橋区。
管理者委託制度とは、博物館や資料館などの管理を業者に依託することですね。競争入札によって選ぶので、格安で業者に管理を丸投げ出来る。依託の期間は契約によるけど、数年に一度入札が行なわれるので、運営業者が入れ替わることもある。確かに節税にはなるけど、地域に密着すべき資料館をそんな継続性のない業者に依頼するなど乱暴すぎますな。しかも、運営業者は派遣で雇った人材を送り込むこともできる。昔からそうだけど、学芸員として職員に採用されることはたいへん狭き門だ。資格は持っていてもそれを生かした仕事に就ける人は極端に少ない。だから、派遣業者に雇われる人もいる。業者に雇われる人がダメとは言わないが、それでは地元に密着した活動は出来ないですね。他にもどことはいわないけど、最近某区で新規オープンした文化館なんぞ、管理は区の職員が行なうが運営をボランティアだけでしよう、なんて信じがたい方針で出来たヒドイものでした。(案の定、そんな方法は破綻したようですが) ちゃんと雇用して身分保障をしなくてはまともな人材もこないし、長続きもしないのは明らかなことです。確かに外国の博物館ではボランティアで運営は普通にありますが、企業や個人の寄付金が半端ないし、日本とはまったく意識が違います。郵政問題にしろ、なんだか小泉政権以降、誰かの都合の良い所だけ真似て合理化を謀ろうとする構造がまかり通っていますねえ。制度を変えれば意識も変わるなんて安易で姑息な考えだと思うなあ。
それにしても採用人数はわずか1名。過去、板橋区立美術館で応募した時も100倍を越える倍率でしたが、今回は140人が応募したそうですよ。当然優秀な人が採用されるとは思いますが、優秀な人は頭がイイだけあって、壁にあたったりするとこれは自分の場所ではないと悟りすぐに辞めてしまう、なんてことが心配ですね。アナウンサーなんて1000倍を超える難関を経て採用されるのに、数年でやめてしまうなんてザラですからねえ。すぐにやめるなんて、落ちた人がかわいそ過ぎますね。
しかし、博物館の学芸員なんて、ホント大変な仕事と思いますよ。研究や展示だけしていれば良いというものではなく、自分の常識とはかけ離れた思考の人が日常茶飯事でやってくる。学芸員というだけで敵意むき出しで挑んできたり、展示の粗を執拗に探して追求してきたり、またそんな人におざなりな対応をしようもんなら逆切れして手が付けられなくなるし。自分の資料を寄贈してやるから取りに来い、いくらで買う?鑑定しろとか、寄贈した資料が展示されないけどどうなってんだ、じゃあ返せetcetcetc‥。弾は正面から飛んでくるだけではないですし。
マスコミの応対も大変だ。だいたい新聞記者はシツコイ。新聞記者としては正しい行為だけど、疑問点をとことん追求してくるからたまったもんじゃないですね。当然仕事なのできちんと対処しなくてはならないけど、日常業務もあるのに疲れちゃいますね。お察しします。。とにかく対人関係の多い仕事なので、ストレスも高いでしょう。だけれども、非常にやりがいのある魅力的な仕事です。何といっても看板背負えますからね。一区民である私がいくら研究をしたりブログで発表したりしても(匿名ですしね)、その筋で信用されることはありません。このブログではなるべくレアな話題を提供することを心がけてますが、それらがきちんと日の目をみることはないですから。まあ、だからこそしばられず比較的自由に発表出来る面もあるし、間違えたら即座に訂正も出来ますが。。
新しく採用される学芸員の方には、是非、”愛”を持って職業に就いて下さる事を願います。期待してますよ!試験は1月16日、ガンバレ!!
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